つながるコラム「絆」 vol.33 美郷町・野菜苗

美郷地区本部

農業は人に喜んでもらえる一番良い仕事

美郷町・野菜苗

島根おおち地区本部 
樋ケ隆行さん

今回のピックアップは野菜苗。美郷町で野菜苗作りに取り組む樋ケ(ひのけ)隆行さんを取材してきました。 島根県の中央に位置する邑智郡美郷町。山々に囲まれた自然豊かなこの地に樋ケさんが代表を務める小松地農園があります。樋ケさんの実家は元々専業農家でしたが、本人は農業を継ごうとは思っていなかったため、高校卒業後は都会へ出て就職することに。主に自動車関係の仕事をしていましたが、段々と「自分は長男なのに都会に出させてもらっている」と引け目を感じるようになり、7年前に美郷町へUターンすることを決意。農業をやろうという考えはなく、帰ってから仕事を探そうと思っていたところ、ちょうど帰ってきたタイミングでハウスの事業を立ち上げる話が舞い込んできました。

切り花栽培で土台を固める

当初から主力として栽培しているのは切り花です。トルコギキョウ、スプレーストック、ヒマワリをメインに出荷しています。樋ケさんは本格的に農業をやるのはこの時が初めてで、詳しい知識もありませんでしたが、立ち上げの仲間が今まで農業を勉強していたこともあり、頼りにしながら花の栽培に取り組んでいました。ところが、数年後にその仲間が県外へ移住することに。突然一人になった樋ケさん。戸惑いながらも、「なんとかやるしかない」という思いで突き進んでいくことに。県の指導員や周りの先輩農家に聞きながらやり方を覚えていきました。自分から講習会に参加したりと積極的に学ぶ姿勢もあり、樋ケさん自身もどんどん農業の知識を蓄えて成長できているそう。

野菜苗栽培も始めることで年間通して利益を出せる体制に

J Aが野菜苗を育てる農家を探すことになり、小松地農園がその候補に挙がりました。その理由は、花の育苗用に自動灌水の機械がすでに設置されていて、初期費用の必要がなかったこと。さらに、メインで栽培している切り花のピークとずれているからでした。また、樋ケさん自身も比較的手の空いている冬の時期に何かの収入があれば助かると思っていたところでした。それらの条件も重なり、2年前からナス、ピーマン、ミニトマトなどの野菜苗を栽培することになりました。

農業は人に喜んでもらえる一番良い仕事



手探りで始めた苗栽培も徐々に慣れていき、今年は数を増やして8000ポットを出荷する予定。「ハウスの場所に余裕があったのでできる限り増やしていきたい」と意気込みを語る樋ケさん。農業を始めて数年、改めて「良い仕事だなぁ」と感じるように。「花をプレゼントすると相手にとても喜ばれます。それが嬉しくて」と笑顔を見せる樋ケさん。今では、自分が一生懸命作ったもので人が喜んでくれることにやりがいを感じ、今までやってきた仕事の中で一番良い仕事だと思っているそう。今後はできるだけ利益を出せる体制を整えていき、それに伴い農業を志す若い人を雇用していきたい考え。「農業をやりたいという若者の受け皿になって、農業の大切さを伝えていきたい」と今後の抱負を力強く語ってくれました。



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